「OYAOYA?」誰でもみんなで『産後クライシス』を大解剖(7/31)/開催レポート
真夏の蒸し暑さ満点の7月31日(金)、「OYAOYA?」「誰でもみんなで『産後クライシス』を大解剖」を開催しました。今回は夏休みスペシャル、産後の女性に限らず幅広い視点で話ができればと企画しましたが、ちょうどそんな回にふさわしく、赤ちゃん連れも含む現役母の皆さんに、現役父、取材の方にも混ざっていただき6名+狩野で充実の1時間半を過ごしました。
まずは、産後クライシスの定義を軽く説明したところで、簡単なワークに入ります。出産経験のある女性組と男性、別々のワークに取り組んでもらいました。
女性からは意外と自分のこと、忘れてる、思い出せない……という声も。そうなんです、意外と忘れるんです。というより一度乗り越えてしまうと、もうわざわざ思い出す必要もない。でも、自分の体験からリアルに出てくるものから考えることにこそに意味があると思います。男性には存分に想像力を働かせてもらいました。
皆さんのワークを共有した上で狩野からスライドを使ってお話をしていきながら、自然と活発な発言があり大いに盛り上がりながら進みました。
ワークショップの本筋はここではレポートしませんが、皆さんから出てきた「視点」のいくつかをトピックスとしてご紹介したいと思います。
「つながり」を失う
産後の女性が直面することのひとつ「社会との断絶感」について、産前産後を育休など仕事とつながった状態で迎えたか、仕事から完全に離れた状態で迎えたかどうかで、大きな感覚の差がある、ということが皆さんの経験からもはっきり見えてきました。
ある方は、仕事と関係の切れた状態で第一子出産、第二子のときは育休中、確かに取り残され感に違いがあったということ。またある方は妊娠中にすでに仕事と関係を切った状態になっていて、そのときに既に「クライシス」のピークを迎えていたと言えるかも、とのこと。
働くことが当たり前になった女性にとって、仕事と自分の関係が切れるというのが、どれだけライフイベントとして「重い」のか、ということがもっと注視、かつ、重視されてよいように思います。
経験しなければわからないことをどう越えるか
男性からは、家庭のことは実際に自分でやるようになってこそ、わかったことが多い。やる時間なく仕事中心に生活したときには全く思えなかったことに気づくようになった、というお話も。
「その立場にならないとわからないこと」というのを伝えたり知ろうとすることの限界をどういう手法で乗り越えるのか。ここは大きなポイントになってくると思います。
発想の転換として、夫対妻の構造で話をしない、という視点をくれた方も。男性を本気にさせるには、妻として「私は◯◯なのに……」というアプローチをやめて「子どもに何を伝えたい/残したいか」という「父としてあなたは子どもにどうしたいのか」ということを真剣に考えてもらうといいきっかけになるかもしれない、というアイディアに、うーんなるほど、の声。
変えたい自分にも、実はある偏見。「昔ながら」への思い込み
相手に変わってほしいと思う自分自身の中にも実は偏見や思い込みがある、というのも大切なポイントです。
夫婦イーブンでいるための「男性の育休や働き方の変化」に対して、「会社にいるときの自分」は、男性の同僚や後輩に対してどこか否定的な見方をしたことがあったかもしれない、という気付きを話してくれた方。
夫婦どっちでも「チーム」という発想で、どっちが何を担当してもこだわりなく動ければと思うけれど、そう現実的に思えるようになるまでは時間を要した、という方。
「日本では昔から」と言われがちなことの多くが、実はほんの一世代の慣習でしかないケースが多い、ということに言及すると、実際、若いお父さんの感覚はずいぶん変わってきているよね、という声も。例えば若いお父さんの常識ラインの変化で親同志のカルチャーが形成され「俺も家のことをやらないときまりが悪い」と背中を押され、家のことに消極的だったお父さんに変化が生まれるケースもあるようです。
女性同志と男性同志、または日本とどこか別の国、ベースのカルチャーが違う中、育児にまつわる具体的な対応策や手法が、一方では通用するけれど他方では通用しないということがあるのでは、という指摘もありました。確かに、単純に「手法」をコピーして押し付けたり、そのまま実行しようとするのではなく、「手法」の生まれた背景から理解して、採用したいカルチャーに合うよう翻訳してアレンジするというステップは必要です。夫婦間であれ、「育児先進国の事例」とされるものを参考にする場合であれ、こういう視点はとても大切になりそうです。
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それぞれのリアルな経験から出てくる言葉にとても重みや発見があり、お互いに新たな気づきの多い時間を過ごせたように思います。
自分が産む前に少しでもこういう情報にふれていたかった。だから今の妊娠中の人や産後すぐの人にこそ聞いて欲しいと思った、という感想をくださった方がいました。
この点はとても課題として感じていて、こうしたワークショップを開いたとしても、その情報が、より必要な時期の人に届くこと、そして実際に来て何かを感じてもらうためには、まだまだpatomatoの取り組みとしてステップが必要なのかもしれません。
今回、ワークショップ中の写真を撮りそびれました。最後に写真OKの方に私も入れていただいて記念撮影。急いでお帰りになった方、ご一緒できなくてすみませんでした。
『ふたりは同時に親になる 産後の「ずれ」の処方箋』
猿江商會 ¥1500 +税 ISBN978-4-908260-08-7
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