「ゴミ箱に新しいゴミ袋はいつつけるのか?〜小さな流儀の違いが夫婦の溝を深める」

みなさんは、ゴミ箱にゴミ袋をつけていますか?そのゴミ袋はいつつけますか?ゴミ捨てのために家中のゴミ箱からゴミを集める時でしょうか、とりあえず集めて、あとでゆっくりつけるでしょうか。

20161009

それは小さなことか?重大なことか?

ゴミ箱に新たな袋をつけるタイミングはいつか……。そんな小さなこと、どうでもいいじゃない?とよその家の話を聞いたら思うかもしれません。でも、そんな流儀の違いに小さなイライラをつのらせるのが夫婦の日常だということが、9月30日に開催した「IDOBATA!」のトークから見えてきました。

特に大きな事件や問題が起きているわけではないのだけれど、ちょっとしたことにイラっとしてしまう……というのが、みなさんに共通するところでした。そこで、話題に上ったのが、この、ゴミ箱のゴミ袋問題。

ふたつの流儀

「ゴミの日に家中のゴミを集めたら『すぐに次の袋つけておいて』と言われてちょっとイラッとしてしまった」
……あぁ、そんなにすぐじゃなきゃだめ?、という気分ですね。

すると、別の方から似たようなパターンが出てきました。

「新しいゴミ袋をあとでゆっくりつけようと思っていたのに「ついてないよ」と言われてイラッ」。
……あぁ、いまやろうとしていたとこなのに……ですよね。

「指摘される側」としてはこれ、「それぐらい別にいいじゃない?」「なんで気にするの?」という気持ちです。自分の流儀としては、「あとでつければいい」「気づいた側がつければいい」。

ところがこれ、「言う側」の感覚だと、「なんですぐつにつけないの?信じられない!」「すぐにつけるのが当たり前でしょ!」と本気で思っているわけです。それがこちらの自分の流儀。多分「IDOBATA!」座談会にこっち派の人がいたら、あぁ、そう言いたくなるのわかる!という空気も生まれるでしょう。それくらい、どっちが正しいということもない。

ゴミ袋だけでなくて、他にも小さな違いがどんどん出てきました。
冷蔵庫の開け閉めだったり、石鹸の置き方だったり……、いろいろな「小さな流儀」の違いに、みなさん言ったり言われたり、日々小さく心がざわついています。

それぞれの事例を面白おかしく話していると、なんだ、どこも同じなんだな、と少し気持ちがほぐれてきます。

イライラのおさめ方

みなさんは、どうやってそんなイライラをおさめているのでしょうか。

「ためないで全部言う、言っても変わらないけれど……」
「言わないから大げんかにはならない。態度に出して相手が気づいたらOK」
「言わないでおく、寝て起きて忘れる」

いろいろなやり方で工夫しています。こういう場合、きっとパートナーの皆さんも、何かを感じ、それぞれなりの工夫をしているのでしょう。

何でも白黒はっきりつけたりルール化したりするのが正解というわけではありません。なんとなくお互いにいいラインで解消できて、なんとなくバランスよくゆるゆると過ごせるのはとてもいいな、と思います。

ただ、実は我慢していて、どちらかにだけそれが偏ってしまうのはよくない。1年2年と小さいイライラをため続けると険悪ムードが定着して挽回しづらくなる可能性も。イライラが「怒り」に発展し、受け止める側も余裕がなくて「怒り」で返して……。そうなるとなかなかやっかいです。

自分か相手どちらか一方だけがパンパンに破裂するまで溜め込まないで済むことが重要。一方が限界に至るのを避けられた方がいいですね。

流儀がふたつあっていい

小さな流儀の違いを乗り越えるには、『家の中の流儀がふたつあってもいい』と思うことがスタート地点です。

お互いに「自分の帝国化」しようとして主張しすぎたり、自分の権利を争って真面目にルール化しようとするよりも、ふたりとも「まぁいいか」と少しいい加減になれるくらいを目指すのが「家族全員の快適さ」のコツかもしれません。

言われて嫌だな、と感じる側にいる場合は、「こっそり見えないところでやる」なんて声も出て、そんなゆるい対策も、いいなぁと思いました。

逆に気になってしまう自分が嫌な場合は、家の外で、誰かと家の中の小さな「ざわざわ」を話題に会話するだけで、ちょっと見え方が変わるかもしれません。近所の人や同僚との立ち話程度でも十分。「あれ?どの家もにたようなもの?」「意外とどうでもいいことかもな」と思えたら成功です。「IDOBATA!」で話している雰囲気をみていると、他人と話すことの、そういうプラス作用を感じます。

「自分の流儀」のうち、生活するのに困るレベルのことは、意外と少ないもの。どうしても譲れないところは相手に折れてもらう。でも自分が譲ってもいいところは極めて適当にして許容する……そういう強弱をつけられるといいですね。

ふたりでやっていくことを目指すには「自分の流儀」を捨てる、という引き算も重要。自分が我慢するのではなく「まぁいっか」の部分を作るイメージです。

ふたりでルールを合わせてきちっとまわすことだけを目指すより、「どっちがどんなやり方でやってもどうにかなる」くらいの「ゆるさ」や「ゆらぎ」を家庭の中に持ち込むのも大切かもしれません。

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狩野 さやか

早稲田大学卒。株式会社Studio947のデザイナーとしてウェブやアプリの制作に携わる一方、子育て分野を中心にコラムを執筆。patomatoを運営してワークショップや両親学級講師などを行なっている。著書に「ふたりは同時に親になる 産後の『ずれ』の処方箋」。 → 狩野さやかMAMApicks連載コラム一覧

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1件の返信

  1. 2016-10-11

    […] そんな「小さな違い」でゴミ箱のゴミ袋問題で大いに盛り上がりました。 このあたりのことは、「ゴミ袋はゴミ箱にいつつけるのか?」のコラムにまとめましたのでぜひご覧ください。 […]