10人の授乳記録でわかる産後新生児育児の過酷さ

「産後って何がそんなに大変なの?」と思っている人、実は結構多いのではないでしょうか。
私自身、子どもを産む前は、産後育児がどんな状態なのか全く知りませんでした。多くのママ達が「こんなの聞いてなかった!」という実感を口にします。

女性でもそうなのですから、男性はなおさら。産後の生活にびたりと張り付いて会社にも行かず四六時中一緒に目撃し続けない限り、 なかなか実感としてわかることではないことかもしれません。

でも、産後の育児生活は過酷です。
その過酷さを共有できるかどうかで、夫婦の信頼関係は大きく変わってくるほどです。

この表は、10人の知人に協力を得て、生後3ヶ月時点の授乳記録を表にしたものです。

10人の授乳記録でわかる産後新生児育児の過酷さ

(第1子生後3ヶ月のある日の授乳記録を提供してもらいました。 授乳開始時刻を1時間刻みでマーク。)

いかに授乳で埋め尽くされているかが一目瞭然です。生後1-2ヶ月はもっと多いのが普通なので、これ以上のレペルを含む授乳を少なくともここまで3ヶ月休みなく続けているのが産後のママの現実です。

授乳は一度に10分以内で終わる方が稀なくらい、所要時間も長いもの。30分も1時間もかかることがあるほどで、体力も使い、何よりこの授乳で分断される時間によって、まともな睡眠時間は取れず、ママ自身の日常生活や家事がまともにこなせないほどです。

これだけの生活を強いられる状態を「危機的状況」と捉えるのは、本当はごく当たり前のことだと思うのです。

女性も男性も「育児は誰でもできる簡単なこと」と思うせいで、意図せずに自分や相手を追い詰める傾向にあります。
「一緒にどうにかしないと到底乗り越えられない」という危機感を同時に持つことが「ふたりで育児」の大切なはじめの一歩になると思います。

この表がリアルな想像力の助けになり、「育児の素人同士 どうにか頑張ろう!」と思うきっかけになったらと思います。

この表をもとにMAMApicksに寄稿したコラムがこちらです。ぜひ読んでみてください。

反響も大きく、「そうそう!」「もっとひどかった!」「私はこんなだった!」という声も聞こえてきました。
経験者同士の共感だけでなくこれが、今育児真っ只中の人、これから育児に入っていく人の当たり前をちょっと変えるきっかけになったらうれしいです。

最後に、このために大切な授乳記録を貸してくださった皆さんにお礼申し上げます。几帳面だったりよろよろだったりする筆跡、アプリの数字のひとつひとつの向こうに、赤ちゃんを大切に思う気持ちや疲労や睡魔が見えて、暖かい気持ちになりました。

尚、これはたまたま集まった10名分の記録ですから、統計的な意味は持ちません。授乳の回数は、母子の個人差、出産時の指導等によって大きく変わるものだと思うので、これと比較して自分の授乳が多い/少ないという心配はしないようにしてください。

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狩野 さやか

早稲田大学卒。株式会社Studio947のデザイナーとしてウェブやアプリの制作に携わる一方、子育て分野を中心にコラムを執筆。patomatoを運営してワークショップや両親学級講師などを行なっている。著書に「ふたりは同時に親になる 産後の『ずれ』の処方箋」。 → 狩野さやかMAMApicks連載コラム一覧

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